40代は転職市場における頼もしきハローワークの実態を知っておくべき

「ハローワークの窓口で40代に紹介できる求人はありません」と言われてショックを受けたことはありませんか?

特に初めて転職活動する40代は、窓口のそっけない対応に驚きます。

私も40代でリストラされて、雇用保険給付のためハローワークに赴いた際に、端末で出力した求人を窓口に持って行くと「この求人は既に終了しています」と何度も言われ絶望。

ハローワークは、公的に企業と求職者を結び付けてくれる貴重な存在ですが、必ずしも求職者の立場に立って支援してくれるわけではありません。

そのため、40代の多くが「自分の希望する求人はない」と勘違いしてしまいます。

目次

ハローワークはそもそも公的な非営利人材提供サービス

ハローワークはそもそも公的な非営利人材提供サービス

40代の転職において、どうしても外せない情報源が人材紹介サービスです。

しかし、その特徴と問題点を理解していない40代は、活動自体が長引いて絶望してしまいます。

企業からの求人情報を入手し、それを求職者に合理的に伝える仕組みとして人材紹介サービスがあります。

人材紹介とは企業側の視点から見た用語ですが、実際には紹介してもらう求職者がいて初めて成り立つサービス。

逆に求職者の視点から言えば、求人情報提供サービスということになります。

ハローワークを除き、営利目的でこの種のサービスを行っている企業は、全国に数千社あると言われており、全国的に展開している企業もあれば、地域的な情報ばかりを扱う企業もあります。

また、求人側、求職側どちらからもサービスの対価を取らず、完全に無償でサービスを行う公的機関も存在します。

ハローワークは1日20万人が利用する最大の公的機関

ハローワークは1日20万人が利用する最大の公的機関

公的機関の代表的なものが、ハローワークとして知られている職業安定所。

ハローワークは、1日20万人が利用する国民に最も身近な行政機関のひとつではないでしょうか?

ハローワークは、民間の職業紹介事業等では就職へ結びつけることが難しい就職困難者を中心に支援する最後のセーフティーネットとしての役割を担っています。

転職先が決まらない状態で会社を辞めた40代は、例外を除きハローワークに何度が足を運ばなければなりません。

雇用保険の給付を受けるためには、郵送での対応はしてもらえず直接最寄りのハローワークに出向くのがルールです。

全国にあるハローワークの設置数は544か所(本局:437、出張所:94所、分室:13室)あります。

また、ハローワークの職員数は約1万1千人、相談員数は1万7千人いると言われています。

国民の税金で運用されているため、無償でサービスを受けられることと、失業したときには何度か通わざるを得ないこともあり、人材紹介サービスのなかでハローワークの知名度は抜群です。

また、インターネットで就職や転職について調べたとき、ハローワークが利用される確率が、他のキーワードに比べて断然に多いことでもお分かりではないでしょうか?

その人気ぶりを実感できるのは、何といっても実際にハローワークに出向いた時でしょう。

まず、窓口に来ている人の多さに驚きます。

そのほとんどの人は雇用保険給付に関する手続きだけに来ているわけではありません。

ハローワークに備えられている求人ファイルをチェックし、適切な求人があれば紹介してもらおうと思って来館している失業者達なのです。

失業後ハローワークで雇用保険失業給付を受けられる

失業後ハローワークで雇用保険失業給付を受けられる

ハローワークでは、リストラされて突然職を失ったり自己都合で退職した失業者を対象に雇用保険の給付を行っています。

失業給付は、失業中の生活を心配せず転職活動を行うため支給されるものですから、基本的に休職中でなければ受ける権利はありません。

失業給付の受給条件や給付期間をざっと説明しておきましょう。

受給資格

基本手当は、被保険者が失業した場合において離職の日以前2年間に通算して12か月以上であった時支給される

失業中でかつ求職中であること

所定給付日数

受給資格に基づき基本手当を支給する日数は、次に掲げる受給資格者の区分に応じて当該定める日数とする

ハローワークインターネットサービスより引用
(出典元:https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html)

日額の計算

賃金日額 = 被保険者期間として計算された6か月に支払われた賃金の総額 ÷ 180

給付率は、45%から80%。

この区分は、賃金日額の逓増に応じて低減するように厚生労働省で定められています。

40代でもハローワークで職業訓練を受ける権利がある

40代でもハローワークで職業訓練を受ける権利がある

ハローワークでは求人の紹介や雇用保険失業給付を受けるだけでなく、職業安定所の指示する公共職業訓練等を受ける場合、技能習得手当と寄宿手当が支給されます。

職業訓練とは、主に転職に役立つ知識や技能を無料で身に付けるため行われており、無料で国家資格を取得するチャンス。

主に、雇用保険の受給対象者に対する公共職業訓練と、雇用保険の受給対象でない者を対象とした求職者支援制度があります。

失業者は訓練期間中、雇用保険の受給期間延長を受けることが出来るので機会があれば挑戦してみてください。

寄宿手当は馴染みがありませんが、ようは職業訓練校に通うための宿賃と考えていただければ分り易いですね。

近所に職業訓練校がない場合や、一定の要件を満たす必要があるため詳しくはハローワーク窓口で問い合わせてください。

待機期間や給付制限中、傷病手当金の支給対象日は支給されませんが、最大で40日分を限度として支給されます。

ちなみに受講手当は1日500円もらえます。

ハローワークは求職者の立場で支援する機関でない

ハローワークは求職者の立場で支援する機関でない

最近では、求人ファイルをパソコンで検索するのが一般的ですが、ファイルやパソコンは場所にもよりますが、いつ行っても奪い合い状態

街の中心部であればあるほど、その傾向は高いですね。

時間さえ気にしなければ情報は手に入りますが、苦労してファイルを見ても、40代の転職者の希望条件に見合う求人はほとんどありません。

ハローワークでは、企業から提出される求人票をもとに、情報を整理して開示する機械的な流れ作業が行われています。

ここでも、情報サイトなどの場合と同様に、企業の表向きの情報しかありません。

また、ハローワークには就職相談を受け付ける機能もあるため、相談員がいつも求職者と話をしています。

しかし40代にとって、その相談も時に辛辣に感じることが多いのではないでしょうか?

なにしろ、職を探しに来たのに、開口一番「あなたの年齢では紹介できる仕事はありません」と言われるのですから。

相談員の方も別に意地悪で言っているわけではなく、求人状況を踏まえて客観的に話をしようと試みているが、実際には相談窓口でさらに自信を失ってしまった40代がいるのも現実です。

ハローワークは、公的に企業と求職者を結び付ける貴重な機関なのですが、必ずしも求職者の立場に立って支援してくれるわけではありません。

公務員が決められた仕事を、淡々とこなしているのが、ハローワークに代表される公的な人材紹介サービスのよさであり、また限界であると私は考えています。

ハローワークが保有するのは誰でもできる低賃金な求人ばかり

ハローワークが保有するのは誰でもできる低賃金な求人ばかり

ハローワーク経由の応募は、転職サイトや転職エージェント経由の応募に比べて比較的簡単に内定が取れますが一般的に求人の質は低いと言われています。

その理由は主に3つ考えられます。

1つ目は、国の公共機関であるため採用企業は広告代を支払う必要が一切なく求人の掲載料がタダであること。

それゆえに、積極的に採用するつもりはないが、優秀な人材が現れた時のため求人広告を出しておく。

採用のための予算を取らずに採用したいので、とりあえずハローワークで求人を出しておこうといった企業が非常に多い現実があります。

本気で能力の高い人材を手に入れたいと考える採用側は、費用をかけてでも転職サイトや転職エージェントに求人広告を掲載してスキル高い人を探そうと努力しています。

これは採用側だけではなく、ハローワークの利用者も同様の動きを見せます。

良質でハイレベルな企業に就職したいと願う求職者は、転職サイトや転職エージェントを利用。

しかし、それらの手段が上手くいかない求職者ほど、比較的採用率の高いハローワークを利用する傾向にあります。

すなわち、求人の質というよりも転職できるか否かということに重点を置く採用企業と求職者が利用するのがハローワーク。よって質が低いと言われるのも当然の結果と言えるのです。

2つ目は、ハローワークの求人は、運転手・介護職・作業員、飲食業や建築業のように誰でもできる求人、未経験でも応募可能な職種が多く見られる理由。

当然のことながら、一般的に考えて特別な能力が必要ない職種は賃金が低いことがほとんど。

分かりやすく言うと、誰でもできる仕事は高額な賃金を期待しにくいということ。

3つ目は、求人票の内容と実際の仕事内容や待遇面が全く違うケースが非常に多い理由。

ハローワークは職業を紹介する公的機関ですから、求人広告の真偽をシビアな目で精査しているわけではありません。

どこまで行っても求人の内容を判断するのは、立場の弱い求職者に任されています。

そのため実際は、求人広告よりも賃金が安い残業が多い問題が発生しています。

転職後にめんどうなことが発生しても、ハローワークは一切対応してくれない傾向が高く転職先の情報は自分自身でを調べておくことをお勧めします。

カウンセリングを受けたい40代はしごとセンターへ

カウンセリングを受けたい40代はしごとセンターへ

自治体によって呼び方が違いますが、しごとセンターはぜひ利用したい公的機関のひとつ。

各自治体の転職支援事業を推進する機関ですが、運営は民間の事業所に委託されている場合が多いですね。

しごとセンターは、就職に関する一連のサービスが提供されており、若者から中高年・シニア層までの転職者の適性や、希望に合わせたキャリアカウンセリングを受けることができます。

ハローワーク窓口の塩対応が苦手な方は、しごとセンターに通うことをオススメします。

求人情報自体は、ハローワークと共通のデータを使用します。

東京しごとセンターを例にとると、東京都の転職支援事業でありながら、東京在住者だけでなく、東京在勤予定の人も利用することができます。

そのため、実質誰でも利用することが可能です。

もちろん利用は無料で、窓口で登録を済ませた後は、専任のコンサルタントが付いてくれ、カウンセリングを受けながら求人の紹介を受けることができます。

また、転職のためのセミナーや企業との交流会も開かれているので、転職エージェントに登録拒否された方は最後の砦です。是非にとも活用すべき機関。

東京しごとセンター(https://www.tokyoshigoto.jp/)

OSAKAしごとフィールド(http://shigotofield.jp/)

まだまだあります!40代が利用すべきその他公的機関

まだまだあります!40代が利用すべきその他公的機関

ハローワークが、公的な人材紹介サービスとして最も広範囲でかつ充実したサービスを行っていますが、そのほかにも求人情報を提供している公的な機関が存在します。

これらの公的機関による各種サービスは、求人情報の収集については基本的に無償で受けられます。

ただし、各機関の性質上からハローワークと同様に多数の利用者が殺到しがちであること、求職者に対して機械的な対応が行われがちであることには一定の注意が必要です。

  • 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
    2011年9月末に曲折の末、廃止となった独立行政法人 雇用・能力開発機構が元機構。

    新たに発足した独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構は、雇用開発と職業能力開発を目的とし、企業と勤労者、転職希望者に向け様々な情報提供や相談、セミナー、教育セミナー各種を提供しています。

  • 財団法人 産業雇用安定センター
    各都道府県にサテライト拠点を持つ同センターは、在職者の出向と移籍の専門機関。

    人材の受け入れ企業および送り出し企業の双方から人材情報が登録される仕組みで、人材情報の提供と紹介を企業向けに行うのが主な役割ですが、転職希望者についても職業相談や職業紹介を行っています。

  • 公益社団法人 全国求人情報協会
    1985年(昭和60年)2月、厚生労働大臣の許可を得て設立されました。

    2012年(平成24年)4月1日に、「公益社団法人」への移行を果たしました。主な活動内容は、求人メディアが読者・ユーザーの職業の選択と安定した職業生活に役立つものとなるよう活動しています。

    全国の求人メディアを検索できるポータルサイトでもあります。(68サイトを掲載中。2018年5月現在)

  • 一般社団法人 日本人材紹介事業協会

    通称・人材協は2000年(平成12年)5月に発足。

    厚生労働大臣の許可を得て、主にホワイトカラーの職業紹介を行う、人材紹介会社を会員とする業界団体。全国の転職エージェント(人材紹介会社)を検索できるポータルサイトでもあります。(303事業所を掲載中。2018年5月現在)

  • 中央職業能力開発協会(JAVADA)
    キャリア形成の他、技能の振興や企業における人材育成の支援を通じて、豊かな勤労者生活の実現と活力ある経済社会の発展に貢献しています。

    また、国の職業能力開発施策の発展も寄与しています。

頼もしき存在ハローワークの実態を40代は知るべき

では最後に、今回の要点をまとめておきます。

  • 求人情報を整理して開示する機械的な流れ作業が行われている場所
  • 企業と求職者を結びつけてくれるが、求職者の立場に立って支援してくれるわけではない

40代の転職は相変わらず厳しい状況が続きますが、ハローワーク求人の中にもお宝級の求人が眠っていることがあります。

絶対に、見逃さないよう気を付けてください。

転職支援をしている斉藤でした。

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